喫茶店で日が暮れる/15フィールズ
 
きみの寂しさを測定するのは机の上に置いてある二つの珈琲の表面のかすかなふるえだけで
あとは不可視のくうきになって異国の都市や砂漠や海や月の下や色んなところを回って結局は劣化なしできみに染みる、乾く、染み付く
(珈琲もそうやってできたのかもしれない)
背景は鳥居珈琲店内で静寂を受け入れた活気さがある、ぼくたちの座っているただ古臭い椅子と珈琲を置いた机、ここはたぶん別の世界
(足場が不安定だ)
本を持ってきていた、これは習慣だ、ナイン・ストーリーズ、きみがいるのに
(読み聞かせるものでもない、場所でもない)
よくわからないブレンドの珈琲をぐいっ、と一口飲む、少し水っぽい、後味が薄いな、と
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