『海の中の蛙』/東雲 李葉
 
手紙はシャーペンで書いてはいけないという暗黙のルールを知らなかった私は、
苺やら牛乳瓶の形に折られた器用な手紙に四つ折りのノートの切れ端を返すような女子だった。
生徒手帳の禁止事項よりも大切な法律がどこの世にもあるものなのだ。
やがて鈍感な視界の端々に薄い膜が見え始め、
何年何組という小さな海から一人浮き上がっていくのを感じた。
丸襟のブラウス越しに伝わる視線は日に日にちくちく尖っていって、
名札を刺し間違えた時より深く、故意に、まっすぐ心臓ばかり狙っていた。


ほんの些細なことが、例えば好きな人の話題にちゃんと答えられなかったとか、
そんなことで机を付けてくれる相手がいなく
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