蒼葬 / ****'02/小野 一縷
重にも 刻み込む
波打際に 沢山の小瓶が 群れなして 打ち揚げられる
中身は 焼け焦げた詩片 白 灰 黒 枯れた言葉の残骸
遠く 続く 海岸の彼方にある 教会から 聞こえる
暗い 鐘の音は 濁った 虹色の 雲を呼び 重い眩暈を 誘いだす
地下の 白と黒の 格子模様の 広大な霊廟を 吹き抜ける
赤黒く病んだ 風が 潮風に 生ぬるく 混じり合う 瑪瑙模様
眠る
暗く くすんだ魂を 病んだ肺で包み
焼けた両腕で抱いて
痩せた 頬を 湿った砂に 預けて
夢見る
黒い水平線の 向こう
名も知れぬ国の 無名の港
細く 横たわり 缺けた 貝殻に くちづけて
静かに
鬣の白い炎を靡かせて
木馬が蒼く揺れている
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