蒼葬 / ****'02/小野 一縷
鉛色の岸辺
蒼い木馬が燃えている
塩辛く 蝕まれた 薄い身体を 震わせて
揺れている
錫色に泡立った 波頭の拍子を 執りながら
砂の一粒一粒は 鋭く 足の裏を 青く 有害に刺激する
誰かが作った 砂城が 鈍く 融ける 角砂糖のように 崩れてゆく
一羽 白い鳥が 飛び立つ
遥か
遠い 小さな 朝陽でも 夕陽でもない 黒い太陽に 滲んでゆく
紅い月明りが 海面を血の色に 黒く染めている
その月は 大きく 空の頂を 被っている
麻痺した皮膚に 微かに感じる 体毛に結晶した 飛沫は
刺々しく 肉に 十字を 幾重に
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