秘密と嘘/りゑ
 
夢の中 嘘の塵に咽せ、目覚めた
まだ朝の始まっていないガラス越しの街を見下ろし
ベッドに戻ろうとす
ふと気付く
嘘は塵どころか、塊となり
生臭い悪臭を放って
私の体内で脈々と胎動していた!

生臭い反吐色の息を吐く私 
口からは翠の唾液 目が血走る
嘘でできた胎児に反吐がでそうになって
産気づいた私は酸いもののかわりに酒をあおる
あおり続ける、臭いが消えるまで
アルコールが願わくば殺菌するまで

今始まったことではない 
記憶がなくなるまで
嘘偽りの記憶を無理やり絞め殺すまで
私は呑んできた ずっと昔から
嘘の胎児を吐き出したい
自浄したい
中絶にかけたい
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