長い家出/はだいろ
 
かばかばかしいような気がして
定期券の駅を通り過ぎて
海まで乗り継いでった
ちっともぜつぼうてきではなかったけれど
こころはうすくなっていく


40歳になったら
なんて
だれも考えたりはしないだろう
出会うべき人にもし出会えていたら
きっと
気がついたらおじいさんになれていたに
ちがいないのに
きっと
ちがいないのに


40歳になったので
また詩を書いてみることにした
じぶんをかたちにすることを何もしてこなかったから
何だか長い家出のような気がして
恋をしたら恋のうたを
失恋したら失恋のうたを
ちっとも恋なんてしてないけれど
こころはあかくなっていく







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