長い家出/はだいろ
かばかばかしいような気がして
定期券の駅を通り過ぎて
海まで乗り継いでった
ちっともぜつぼうてきではなかったけれど
こころはうすくなっていく
40歳になったら
なんて
だれも考えたりはしないだろう
出会うべき人にもし出会えていたら
きっと
気がついたらおじいさんになれていたに
ちがいないのに
きっと
ちがいないのに
40歳になったので
また詩を書いてみることにした
じぶんをかたちにすることを何もしてこなかったから
何だか長い家出のような気がして
恋をしたら恋のうたを
失恋したら失恋のうたを
ちっとも恋なんてしてないけれど
こころはあかくなっていく
戻る 編 削 Point(11)