殻に籠ったハリネズミ/三奈
触り心地、なんて
求められても困るのよ
今日も私はきみの手に
小さな小さな傷をつける
いたい、と小さく泣いた声
そっぽを向いて
聞こえないふりをした
うさぎさんの所でも
いってらっしゃい
あの子はきっとふわふわで
人を傷つけたりはしないのでしょう
私はきみと体温を分け合うことも
甘えることもできないのだから
棘は私を守ってくれる
棘は私を遠ざける
棘は私を独りにする
あるのは自分の体温のみ
だから、きみの温もりを
優しい手を
知ってしまったら、きっと
負けてしまう
許してしまう
境界線が、ほどけてしまう
慣れ始めた“孤独”が牙をむく
それはとても怖いこと、だから
うさぎさんの所にでも
いってらっしゃい
ねずみさんの所にでも
いってらっしゃい
帰ってこなくても、いいからね
(最後の強がり)
(さよなら、を言わせて)
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