穀雨/千波 一也
 
らないものへの歓びを
惜しまないわたしで在りたい

それはかならず
傷つき続けるけれど
雨が
きれいに
洗い流してくれるから
願いごとはいつも
優しい匂いに
満ちている

満ちて
いける


緑の海のはじまりのなか
わたしを知らない言葉をおもう

わたしが知らない言葉ではなく
わたしを知らない
言葉をおもう

雨の向こうへ
つながるように







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