だから、息を潜めていたのではないか。/板谷みきょう
 
最初から警察は、動機を絞り切れなかった。
営利目的なのか、
悪質な愉快犯に因る犯行なのか。

捜査はその両方の線で進められていた。
マスコミ報道が
一切行われることの無い様に
協力を得ていたのだった。

毎日を不規則に暮らしていることが
不自然と言えば
言い訳の立てられない暮らし振りの
隙を縫うように

その点で言えば、
十分すぎる事件なのだ。

ローンの返済のために
虚栄を張り合う様な生活と
切り詰められた暮らしの峽間に
追われているのだ。

隣に住む人にさえ
関心を持たない新興住宅地の。

それも
やっとの思いで
手に入れたマイホーム

近所付き合いもなく
それぞれが
暮らしている一角であればなおのこと。

当然の成り行きといえば
その通りだったのだ

だからこそ、あしげなく
ハローワーク札幌北と
ハローワークプラザ北24へ
定期的に職を求めて
通っていたではないのか。
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