サキ/望月 ゆき
サキとは昔から似てなかった
サキは母親似で
それがずっとうらやましかった
サキは生まれたときから妹だった
サキは小学校のころから
勉強が苦手だった
勉強が得意だったわたしは
いつもどこかで馬鹿にしていた
と思う
母親似のサキに
母と仲の悪い祖母はいつもつらくあたったが
それは仕方がないと
思っていた
中学を出ても
普通の高校に入れなかったサキは
普通じゃない仲間と遊ぶようになった
サキの
普通じゃない生活がはじまった
勉強机の一番下のひきだしに
シンナーの瓶を何度かみつけて
こっそり親に告げ口した
親はサキを叱らなかった
悲しんでいた
かどうか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)