マンション/捨て彦
 
ロキョロキョロ。誰も知り合いがおらんこの街で、ワシみたいな田舎モンが生き残るには、そりゃもう、見つけた目の前の仕事を必死でやるしかなかったがな。」
「……………」
「せやけど、それのお陰で、バブルのせいもあってか、うまいこと世間の波にものれた。お金はよう稼げたし、それなりにも遊んだ。それこそ、あんたのゆうような生活をしてたがな。………あの頃はホンマに夢のようやった。」
「……………」
「ほなけどな、やっぱり、どんなに頑張っても、しょせん田舎モンは田舎モンやったんじゃ。他の遊び事忘れて、それよりも仕事に没頭してた事とか、元々賭け事みたいな事も一切せえへんかった。そうゆう、なんちゅうかな。ホン
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