夜のボート/番田 
 
絵画とはなんだろう。いつも考えている。ただ、そうではないものがあるにしても、絵画に自分自身だけは存在しないように思う。だから、どんな作品においても殺風景な感覚があるのかもしれない。自画像は、自分を投影した作品ではないのかもしれない。自分自身は、視界に入らない。街全体はー、今日も静かに流れている。芸術が音楽の状態を憧れる、とする言葉と同様の事実なのだろう。他者の失われた、暗闇の中の自分だけが存在する感覚のする死の世界とは、そんな状態かもしれない。今日は、部屋は過ごしやすい。音楽が表現するこの、ひどい憂鬱さに思える。芸術デザインとして思考するのも、同様の結論かもしれない。
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