明方、その暗がりに/ホロウ・シカエルボク
 




鈍い目眩とともに
やって来る歪な影
暗い夜明けのように
淀んだ白夜のように
めくれた上皮みたいな気分が
敷布の中から身体を捕らえて
煮物が駄目になるときのような一秒が
目玉をくり抜くみたいに過ぎる
両親、その阿呆みたいな理念と
余計な部位のような兄弟
去れるものなら去れよ
似た血がそこにあるというだけのことで
それを繋がりだなどとオレは呼びはしない
安普請の空間を駆け抜けてゆくあどけない羽の小蠅
蛍光灯の白色の密度を掻き回して
自我を見失うみたいに時計が歪む
ああ、まるでおざなりなパラレルワールド
右目だけが現世に
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