五月の窓/未有花
 
ようやく僕の窓にも光が差して来て
暖かな日差しを感じるようになって来た
めいっぱい窓を全開にすれば
この病んだ部屋にも新鮮な空気が入って来て
まるで心が洗われるよう

しばらく窓辺で風に吹かれていると
おいで
そこから出ておいでと
誰かが僕を呼ぶ声がする

その声に導かれるように
窓に手をかけ足をかけ
思いっきり窓の外へジャンプすれば
ああ なんて眩しいんだろう

僕が窓を開けない間に
季節はいつの間にか夏に変わっていて
何もかも緑色になっていた

いつもは窓辺を飾る花が
もうすっかり散ってしまっていて
ちょっぴり残念だったけど

僕の大好きな季節がやって来る
そう思うだけで心はときめいて
この緑に今にも溶けてしまいそうだよ

もうあの部屋に戻れなくったってかまわない
いやむしろ戻りたくない気分
このまま緑の中へエスケープ
僕は風になるんだ


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