不安/森の猫
運命の日まで あと4日
”がんの疑いがあります”
そう 医師から聞いたとき
いたって平静だった
あたし
休みの間も
好きなところ行き
ひとり ホテルに泊まり
自分の時間を静かに持った
家族に声を荒げることも
涙をながすことも
なく
普通の日常を送った
前日には
気のおけない
友人たちに会い
詩を語ろう
いつものように・・・
そう思っていた
あと4日
ここへきて
少なからず
もしや・・・
の 文字が頭をよぎる
時おり 差し込む
お腹の痛み
医師のいいつけは守った
だけど だけど
不思議と父が
がんで亡くなった経緯と
事実が符合しはじめていることに
気づいたのだ
もうすぐ
父の命日
あたしの年も近い
大丈夫 大丈夫
大丈夫だからな
君からのメールだけを
だきしめ
あたしは
その日を待つ
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