オリエント・エクスプレス、1914/都志雄
 
いか?
ああ! 鼻を突く、この星の系譜。
見せてくれ、
真善美(トリニティ)、そして聖なる像(サクラメント)…
しかし耳目はてんで勝手に像を結んで私に告げる。
自由意思はどこに?
湧き出でる現象はやはり悉く私の幻か…
おお! 聖なる《報告されしもの》!
私はおまえの「ありのまま」が欲しいのだ…




◆車掌:

ここは一条の連続体(スペクトラム)。
九分九厘の夕闇を引き裂きながら走り去る。
雑踏の物乞いの顔を照らし、
鉄橋下の逢引きをまたぎ、
家路を急ぐ農夫とロバの耳をつんざいて、
遠い山並みに残照が見えなくなっても
東へ―

今は闇に呑まれてゆく、東へ。 


それでは皆様、ごゆるりと―

また明朝!











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