東梅田駅8番出口/中原 那由多
 
中洲に立ち止まった時間

初めてなのに何故だか懐かしくて
辿った記憶の終着点には
少年が笑いながら花を引きちぎっていた
涙腺をどこかに落っことしてしまったことで
確かに愛は死体となった
反対側の車線に見つけたカーキ色は
自分に少し似ているような気がしてならない


改札口の向こう側では広告だけが楽しそうにしている
暗がりから逃げているのか、あるいはそこへ向かっているのか
どちらにしてもホームの床は汚くて
乗換のための通路は体感温度が2℃低い
エスカレーターの右側に立つ人達は
ほとんどが重たそうな荷物を抱えていて
ポケットに手を突っ込んでいた私は
中の切符が少し折
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