ヒゲ/がん
僕と君とは同じ穴のムジナだと言いきってしまうのも、きっと悪くない。
同じところに住み、同じような色の服を着て、朝と夜は同じ時間にご飯を食べているのだし、君は僕のことを家族だと言ってくれているのだから。
朝、君が出かけるとき、僕は少しさびしいけれど、何も言わずにお見送りをする。
君のことは大好きだけれど、それが僕の役割だから仕方がない。
本当は、行ってきますのキスだとか、そんなこともしてみたいのだけれど、君より背の低い僕はベッドの上以外で君とキスをすることに少し抵抗があるし、何よりも君の後ろ髪を引いちゃいけないと思ってそんなことしないことにしてる。
僕は家で君の帰りを待つ。まるで慣れた
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