血の色、レッド/ホロウ・シカエルボク
子供の様に
廃れて
横たわる夜
鬱蒼と
茂る狂気
道を
はぐれた
野良犬の狂気
もんどりうっては
まともな振りをする
夜、夜、夜、夜、夜夜
欠けた前歯が
捕らえなかったもの
それが真理
それが存在理由
剥き出しの
虚ろの中で
血を吐いた
慰みの傷
晴れた日の後は
拭い切れぬものが
浮き彫りになるから
早く眼を閉じるのだと
あれは
誰に
教わった
しきたりだった
鼠のように
壁の隙間に逃げてゆくのは
平熱の様な
日常の尻尾
くらくらと眼が眩んで
夜のわだかまりは
それ相応の
大きさと密度に
変化してのさばった
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