鉄のまな板/番田 
 
何にも考えることの無くなった街で、自分に色々なことを考えている思いがするが、忘却することの無い瞬間を求め、けれど僕はさまよい続け、歩かさせられた。どんな料理を作るにしたって、四角の中に具をつっこむだけだ。そして茹で上がる時を待ち続ける。キャベツを入れ、カボチャをつっこむ。これに、構うこともない。自分自身であっても私は構わない。黒色をしたものや、赤いものを認識する間もない。正解を考えることのない僕で、じつに色々なことを考えている気がするが、忘却の無くなる瞬間を求め、しかし僕はさまよい続け、忘れる。全く料理を作るにしたって、空間の中に具をつっこむだけ。しかし茹で上がる時を待ち続ける。肉を入れ、カボチャをつっこむ。うわっと構うこともない。他人であって私は構わない。緑色のものや、赤色のものを忘れ去る空間でもない。

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