なくなった/寒雪
く
子供の頃
友達とかくれんぼをすると
うまく隠れすぎてしまったのか
ぼくは鬼に見つけられないまま
何時間もその場に息を潜めて
じっとしていた挙句
みんなに忘れ去られて
一人寂しく家路につく
そんなことがよくあった
今の自分も
そんな感じなのかなと
自分を慰めてみる
時間が経つと
疲れてきたのか
眠くなってきた
それと同時に
便意も襲ってきた
戸籍のことは気になるけど
今はトイレに行きたい
戸籍のことは
また明日市役所に行ってから
考えることにしよう
ぼくは足早に
その場を立ち去った
紙切れ一枚のことなど
今のぼくには意味のないことなのだ
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