五月の妖精/まどろむ海月
 




五月の翠(みどり)の面影は
透きとおった
風の中の
あなたのささやきに似て
ほそく葉脈のように
しのびこむ



麦藁帽子の下の
淡いほほえみ
白いスカートの
しぐさに揺れて





 小石の水切りのように
 たどりついた恋

 輝く身体を
 抱きしめたとき
 花蕾が落ちた
 波紋のように

 しなやかな
 貴女の香りが
 広がった







思い出は
薄い羽の
五月の妖精

細いタクトの
軌跡に癒されて
半ば泣いているような
心の横顔





 






     


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