冬と色/木立 悟
硝子瓶つかんだ手首鳴りひびき緑に映る偽りを燃す
月の角おのれを穿つかがやきのなんという蒼なんという蒼
からだから離れる痛み目の痛み光とまらぬ光すぎゆく
さだめ無き行方をしるす夜の水ふたつの影絵ふたつの無音
時は色さえずる穂さき波となりただ吹きすさぶむらさきの道
空が降りまた降りそそぎ水たまり消えた境のかたわらをゆく
こがねいろ手のひらあふれ海を越えたどり着けない浜辺ひそやか
片目から片目へ時間はばたいて季節を季節に連れ去ってゆく
天と地をはじいてやまぬ冬のうたなお凄まじき凄まじき色
戻る 編 削 Point(4)