空席のためのルーチンワーク/月見里司
日常を打破すべし
化粧品の広告がさけぶ
職場までの16分間を、
毎日同じ車両と場所で
わたしは、雨の気配を
見なかったことにする
日常を打破すべし
ここは戦場ではないが
戦いはまだ続いている
たくさんのガラスの外
窓拭き業者は無表情に
無音のまま落ちていく
空調が効きすぎている
、
日常を打破すべし
二つの空席があったが
誰も座らず、地下鉄は
駅の空気を追い出して
悼むような音をたてて
快速はスピードを増し
//2010年4月29日原案、翌日校正・投稿
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