君の秘密/月山一天
君の周りに人が群がっているのは、
君のその、聞き癖のせいだ。
君はつまらない政治の話でも、
オタクの漫画の話でも、
それが世界一面白い話でもあるかの様に興奮して聞いている。
校門の警備員のオヤジなんか、君ぐらいしか話を聞いて貰えないから、
調子に乗って毎日反抗期の娘にシカトされる話なんか繰り返すし。
バスで隣に座ったおばさんの愛犬の話も、息子の自慢話もあんなに熱心に聞くから、
携帯番号まで押し付けられてたし、
近所の一人暮らしの絹子ばあさんときたら、最近君が本当の娘だったらいいと言い始めるくらいだ。
君は、正直言って特別かわいい訳でもない
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