鬼に聞いた話/春日線香
早く通り抜けてしまいたかった
思わずアクセル踏みこんでな
水の上を滑るみたいに進んでいった
するとフロントガラスにうっすらと
白い女の顔が浮かび上がった
突然のことだったからびっくりしたよ
悲鳴をあげたいのを我慢して
いや正直なところ声が出なかったけど
心の中でなんまんだぶなんまんだぶ
唱えたのよ
そしたらその女の顔がニンマリ笑って
ふっと消えちまった
一瞬のことだから見間違いかと思って
俺は大汗かきながらもほっとした
と安心してたら荷台のほうに
軽い衝撃があって
なんかが飛び乗ってきたような感じ
ひゃー
もう気が気でなくてよ
そのまま車をぶっ飛ばして
気が
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