生きて、死にいくものたち/小原あき
 

キコキコ、と
鳴る音で目が覚めた
薄目を開けて見ると
夫が一生懸命に
わたしのねじを巻き戻している

なにをしているの? 、と
聞くと
どき、とした顔で
こちらを見る

大丈夫、わたしも回したことあるから、と
言ったら
安心して
また
キコキコ、と
わたしのねじを回し始めた

わたしが夫のねじを
初めて見つけたのは
結婚してすぐだった

それからは
毎日まいにち
必死に巻き戻した
巻き戻された夫は
危うく
年下であるわたしの年齢よりも
年下になるところだった

なぜあんなに
一心不乱に巻き戻していたのか

さすがにわたしよりも
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