嘘つき/嘘而
たくさんの嘘からできてた
わたしのひとつひとつの細胞を
あなたは愛してくれた
たくさんの真実からできてた
あなたのひとつひとつの細胞を
けっきょくわたしは
最後まで愛すことができなかった
世界はわからない
なぜ回るのかわからない
人間がなぜ存在するのか
顕微鏡じゃ見えない
もっと小さい、誰かの細胞にも
ひとつの世界が、あるのだとしたら
わたしの嘘や、あなたの真実だって
どこかの世界の有名な哲学者が
奇跡的に発見してしまった
広大な世界の
壮大な運命の
ちっぽけな言葉なんだろう
なにが嘘で
なにが真実で
はは、ありきたりな言葉だね、って
そんな風に
永遠に、一瞬に
見えない風みたいに
自我をもってしまった、わたしの細胞のように
ずっとずっと
どうでもいい存在でありますように、と
願ってる、わたしの姿を見て
あなたは泣いてくれるんだね
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