樹木の定義/葉leaf
 
 彼は男子校に通っていた。中学の頃、彼は異性がそのスカートの辺りにまとわせている過剰な毒に体中を侵されていた。異性がその微笑みの表面で彼のあらゆる衝動を跳ね返すことに精一杯抵抗していた。異性がその声に含ませる柔らかさと温かさが難解で仕方がなかった。男子校で異性がいなくなると、彼は敵と目標と温度を失った。男子校では、氷河で削られた後の峡谷を疾走するかのように、彼は衝動と暴力と知力とを、どこにも見当たらない目標のあえて端の方へと、発出し解放し散乱させ、他の男子たちのいまだ凍り続ける世界観と人生論を加熱しようとした。
 彼の家の属する町内会のゴミ捨て場の裏側に、一本の桐の木が生えていた。遠くから見ると
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