月の嗤うさき1〜2/……とある蛙
 


霧に包まれた類人猿の咆哮は
全ての言葉を包み込んだ
異様な振動を部屋の中に持ち込む
全ての言葉は何の目的で語られているのか

不明

類人猿は苛立ちを覚えながら、
剥き出しにした牙をこちらに向けて
私の脳髄に直接語りかける

ここまで来たのだ
イザナミ

ボツボツ類人猿は言いたいことを語り始めた。
俺は恥かきっ子だ。

類人猿の声が遠くにこだまする。



突然暗転したさきは森の中
類人猿の恥かきっ子を眺めている。
何処なのか何時なのかも分からない
何故、恥かきっ子を眺めているのか
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