空の向こうから/かのこ
雨が涙を少し残して去った後
生温い風のにおい
また春を積み重ねて
いつの間にか大人になんかなって
“新しい今の暮らしは愛おしいものです”
誰にどう説明すればいいのかも分からず
切なげな歌にひたすら同調して
今日もこの坂道を上って帰ってきたよ
星と星を繋ぐ距離は変わらないまま
問いかけるように
煙草に火をつけるたびにあなたのことを考えて
オレンジ色に揺れる炎みたいに
空気がひとつ形作り
眠りに就く前に
胸元にキスをくれる
温かな理想を抱いたまま
晴れますように
次に会えたときはもっと笑顔でいれますように
それまでいい子で待っていられたら
晴れますように
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