旅記 '04 / ****'04/小野 一縷
いう名の狂気
その曖昧な輪郭を その不確かな実像を
言語感覚=知覚で認識し 保存する
後に反芻を心地好く味わう為
幻像のデータ形式変換は 正確な執着で
且つ執拗に 行わなければならない
「刮目しろ 耳を澄ませ 息を整えろ」
表現を突き詰めてゆく時 何らかの神秘性や宗教性を辿り
それらを通過していくことは いつの時代であれ
創作上 稀なことでも何でもない
その目前で 後込みしてる お前は
もう二度と 私の詩に 触れることはないだろう
耳の形を 真似て 眠る
私にとって 胎内は 既に 故郷ではない
記憶の資源としての故郷にこそ 要件がある
時間に対して こうして 化学的に記憶を逆流させることは 即ち
自らの根源への旅に他ならない
多く 実に 多くの 旅をした
それらを 纏めた旅記こそが 私の詩集
私にとって詩作とは この生命活動において
最期まで 継続されてゆく 唯一の事業だ
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