きみの知らない誰かに恋をする/寒雪
海岸線に伸びる堤防の上を
ゆっくりとした足取りで
太陽の歩いていく方向へと
流れる雲を真似て一緒についていく
夏でも冬でも
隣にはきみのまぶしい笑顔
早足で駆けてくきみに
手を伸ばしても届かなくて
息切れしながら声をかけると
やっぱりそこにはきみの笑顔
冬の寒い日に
寒いねと言いながら
ぼくの隣に無理やり腰を下ろして
狭い炬燵を二人で分け合う
不躾に横顔を見つめていると
ぼくの方に振り向いて
いつもの素敵なきみの笑顔
オリオン座が輝く空の下
指先に息を吹きかけながら
思い返すと
そこにはいつもきみがいた
笑いかけるきみを見て
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