夜めぐる夜/木立 悟
 






飾りの無い虚ろが
手に手を重ね じっとしている
水紋が 
生まれる前の色


陽を横切る陽
地に撒かれ
夜を聴き
夜を見つめる


川沿いの
白と黒の祭
生まれつづけ
降りつもる岩の息


消えては喰らい
消えては喰らう
霧に映る楽団
わずかな幽霊さえ惜しまずに


風 新しい母
腹は夜
髪は午後のまま
受け入れられて


爪の重みに動けない指
霧を霧に描くちからから
かたちなくひろがり
飛び去るもの


夜の声がしている
目の片方から片方へ過ぎ
袋に入っては出ていき
どこかの街で 双子に生まれる
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