彼女の迷路/寒雪
僕は
彼女の迷路で
もがいている
迷路の中は
なんともひどくて
彼女の人格そのもので
進んでも進んでも
先はレンガばかり
その上
後ろからは
彼女の飼っている
ドーベルマンどもが
僕を
引き返せないように
追い込んでいく
全く
彼女の気持ちが
理解出来ない
一人で苦しんでいる
ちっぽけな僕を
迷路の上から
見下ろして
不躾な笑みをこぼす
それでも僕は
この地獄から
抜け出そうと
頑張ってみたよ
右へ走り
左へ走り
壁をよじ登り
穴を掘り
どれくらい
時間が過ぎてしまったのか
自分でも
よくわからない
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