九十九/しべ
 
ひっ掻き

傷 傷


水滴 水 そら


硝子の縁も
こつんと 鳴く





薄らぐ
高速バスのなか

6時をむかえ やがて
針は2分を示す


尾灯と霧の綴字を流す肌

象の肌
錆止めも 屑となる

手摺も
手折られ
手折られて

あさまだき10℃の中を
震え
瞼狂わす外階段を舐めつくす

ラムネの滲む空に眠る
ホロにも涙

倉庫二棟が 工場をまねて
おんなじ色に

なって 終うよ




そう 髪を一筋くわえ
裾はあまく噛む

ドーナツのように
とろけるまで噛みつづける

奥歯の 奥の
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