曇天/虹村 凌
 
中を歩き
真実が猫背で道の端を歩く
相変わらず正直な奴が損を強いられて
人間証明書を持たない奴が椅子の上で高笑う

敢えて苦しみを拾って
哀しみを拾って
誰かの傲慢も嘘も愛も神も仏も糞も味噌も拾って
全部まとめて燃えるゴミの日に出してしまえ
あらゆる挫折を飲込んで
孤独を涙目で睨み続けろ
痩せこけた精神で
何処に噛み付けるのかわからないが
一度でいい
噛み付く根性が欲しい
だっていつも世界は一晩でひっくり返る
誰かの偏見や戯言に惑わされる事無く
怯まず畏れず退かず媚びず省みず
奢らず高ぶらず自惚れず
腐らず全てを睨みつけて
己を値踏みせずに
拳を握り締めて前を睨みつけろ
正気の沙汰じゃねぇと
狂った馬鹿達に笑われても
目の前の世界は歪んだりしない

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