イリュージョン/済谷川蛍
。3人は、その方を見て驚いた。なんと、そこには、オンボロの切妻造りの家が建っているだけだった。時間もほとんど経っていないことに気づいた。ヒデトが声をかけた。「どうしたの?」3人は何も応えられなかった。そしてヒデトが言った。「ねぇ、表にみんなの水泳袋が落ちていたよ」。中には、ちゃんと全てのものが揃っていた。3人はまだぼんやりとした頭で、私服に着替えた。ゴロゴロッと遠くで雷が鳴った。「降りそうだよ」とヒデトが言った。ぽつぽつと雨が降ってきた。4人は、家に帰ることにした。ふと、ヒロキは立ち止まって、家に目をやった。二階の窓ガラスが割れて、カーテンがたなびいていた。ヒロキは両手を合わせて家に謝った。「どうしたのー?」と3人が立ち止まった。ヒロキは「いーやー」と言った。そして4人は森を駆け抜けていった。
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