「未明」に/tomoaki.t
び手を止め、テレビの花火みたい
な音の一音一音が舷灯に染まり、街が「未明
」の海底を、思い出しては忘れ、忘れてはま
た思い出すように通過していく。
私たちは、その上で、あるいは海のず
っと深くで、「移動」から逃げながら、絶え
ず様々な光や、鋭角の音に廻り込まれ、いつ
も私たちの方から出迎えたかのような気がす
る。どうも、そんな気がする。
「何か」に、語り掛けるかのように、意識を
向ける。何もかも忘れるのは、まだずっと後
で。「最も古い」記憶は、最も古い意識の影
踏みをするため、陽を待っては、あえず消え
ていく。
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