鳴子沈夢 / ****'01/小野 一縷
 


艶やかに唇濡れ 薄紫 柔らかい澱み 胸の奥底に 藍色の沼は
甘く渦巻く 鬱血 指先の冷たさ ぬるい痺れ 重い流砂状の心
沼辺の風草靡く廃土の奥に 優しげに 傾いた
脊髄の鐘楼が 鈍く軋んで揺れている


また? 沈んだ? 


また 血と肉の外に 意識だけ 浮かせては 
命の綱として おくのだろう ほら また 


もう 行ってしまったよ


現実深度 度合の目測 不明確に 時間は眠っている それは
泥の中 沼の中心に埋まっている 沈黙の重み
射してくる 赤みを帯び始めた陽にも 応えずに
喪失 不在の数だけの 邂逅 愛 滲ませて 


液状に 沼
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