最悪/山崎 風雅
 
 
 お互いに頼りあって助け合っているつもりだった
 
 けど

 振り返って気づいた

 
 お互いに傷つけあって臆病を紛らわしあって
 お互いがお互いを光から遠のく理由にしていたこと

 自由に憧れながら
 自由におびえ
 不自由をお互いのせいにしていたこと

 常に我慢することと不満とその憤りを
 お互いに向け合って
 それがもっと最悪の孤独よりマシだとお互いに暗黙に呑込んだ


 振り返ったとき

 辿りつくまでに孤独にならないことがあっただろうか

 最悪と思いこんでいたことが最悪だったことがあっただろうか


 やりたいことをしなかったこと
 やってみて失敗したことより
 自分以外の理由が夢を壊したと思っていても
 実は自分が夢を握りつぶしたことほどの
 最悪はなかった



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