詩 04 / 03 / 02 /****'02/小野 一縷
暗い部屋の一角を 橙に染める白熱灯
闇と光の境界面に 一羽
透けた油色の水鳥が 羽根を休めて
緩い波紋 円の波を生んでいる
この胸まで 波は 広がっては消え また広がる
その柔らかい波に 幾重にも 眩暈が揺られ
少しずつ 眠くなる
綴じかけた目蓋の隙間から
引いてゆく波間に 見つける
貝殻のように 鋭く薄い 言葉の破紋
広く暗い砂浜 目蓋に 刺さって
そこに また波が被さって
泡立ちの中に 微か 解けるように 消えてゆく
「はっ」と気付いて 息を深く吐く
胸が 少し重苦しい
鼓動が熱く 打ち始める
今一瞬 見つけた 詩の破片
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