春のまぼろし/
黒木みーあ
。水溜りの中へ、飛び込んだ陽が風にゆられて、あたしの瞳へ、跳ねてくる。眩しい。消えていく、もうひとりの、あたし、の、後ろ姿、消えていく。目を、閉じる。
今にも、零れてしまいそうな陽だまりの、中で、
(( ――風の匂い。花を食む感触。
目を見開いた、
ゆびさき、ふるえながらわたしは、夕空に燃えるわたしの亡霊を、
見つめて、いる。
}
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