人形と歩く/ヨルノテガム
 
ち(女を想う)になった

  花を抱くと
  冷や奴のごとく壊れ
  花を抱くと
  毎日が嘘のように
  無常に消えて無くなり

 (そう望んだ)

 (そう言えばわたしは花が好きではなかった)

  綿を抱く
  水を抱く
  波紋を抱く

  わたしは軽快な日々を過ごし
  女の名前も知らぬまま
  無造作に開きっ放しの
  女の唇の暗い奥へと隠れる

  *

  女の髪が伸びた

  *

  雨の日の夜、天の川がシャラシャラとまぶたに浮かび
  森林の耳澄まし、欠伸の無い夢世界、せめて
  冷たい女の手の膨張、拡大する唇と躯を感
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