溺死/385
 
朝から仕事上もプライベートも
些細な出来事でさへ不愉快なことが多く
非常に苛立たしい一日であった
イライラは帰宅後も続き
夕飯に何を食べたか
味はすでに覚えていない

風呂にでも入れば落ち着くかと期待したが
皮がめくれるほど身体をゴシゴシゴシゴシ
こすってもおさまらず
にじんだ血を見てさらに激情し
もう何もかも嫌になったので
いっそ溺死してやろうと
身体を水に勢いよく沈めてみた

全身の力を抜いて
鼻から息を吐き続ける
肺の空気が外へ外へ
一定のリズムで流れ出す
耳がキンとなる
鼓動がドクンドクンと響き出す
頭がガンガン痛み出す



まぶたの裏
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