夏が来ますよ/ホロウ・シカエルボク
首から外して
無線中継所の廃墟の床にまっすぐにして置いた
そして
よく見ろと僕に言った
僕はよく見た
六年前に他界した父親の首があった
アルバムで見た
古い親族の顔がいくつか見つかった
「それは全部あなたの血筋」
と
夏子は言った
「あなたもほんとはそこに入るはずだった」
だけど間違えてしまって関係のない人の首を切った
と
夏子は照れ臭そうに笑った
だから
僕に運命を選ばせたのだと
そうか
そうなんだ
僕は彼女を抱きよせてキスをした
たぶんだけど
間違えたというのは嘘なのだ
僕は多分
彼女が好きだった僕の遠い先祖に似ているのさ
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