手首/ask
わたしの身体のどこも嫌いだけれど、
たったひとつ、手首だけはすきであった。
骨の形の見える
親指と中指一周分の筒は、
まるで普通のおんなのひとのように
繊細に自立しているように見えるから。
溶解する
言語化しようとすればするほど
安心できないぶぶんが
流れ出してうるさい
膨張する頭をしずかにしたくて
殴るわたしの手首を
つかむひとは、
時に夜そのものだ
鳴り止まない
熱を持つ、夜はもう
とおく、
とおくにいってしまった
力の抜ける瞬間
放り出されて
頭は、
ぼんやりしたノイズだけが
残されて
鳴り止まない
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