ロコネガティヴィジョン / ****'99/小野 一縷
 



ああ ぼくの啜る鼻水に
風邪の風味が染み入ってきたら 潮時だ
「不安ってなんだろう」なんて所詮一時的妄想は
心に沸いた 熱気ある怖気に
たった今 あっさりと 塗り潰された


額の斜め上の手短な空間辺りで 蒸気機関がクランクを回している
そのスムースでもない運動音は 耳の中の渦巻を軋ませる
だから
ぼくは泣いているのかい? 
奇怪なむず痒さに?  少し笑いながら?
気が付かなかったよ
そんな ぼくが 可笑しくて
道を行き交うみんな 器用に見て見ぬ振りをするんだね


この血液の劣化は あまりにも早過ぎる
ひん曲がった腰と 湾曲した左肘でベンチに絡む老
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