民族などについて、ニューヨークから/番田 
 

年月とは後悔ではなく
未来にならされるであろう 天国の
他人であり 肉体ではない
芝生の一つ一つの その意志を捉えさせられた
誰かに 夢を追いかける 日曜日の夜を
言葉のかけらすら無くさせられた時
一本の芝として それを手に取る時
芝生の一本一本を
深緑に見つめさせられた その闇を
伸びた茎として千切りとらされた時に
民族の一つ一つの 眼差しとして流れ出させられた

民族の意志の
苦悩に充満する 僕は
昔会ったことのある女のことを思い浮かべさせられた
新宿のどこかの喫茶店、詩をどこかの喫茶店で絶叫したあの日、彼女はその名を名乗らなかった、あの日はいつだっただろう、
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