猫二題/……とある蛙
1
明るい陽光を浴びて
僕の黒猫は
幸せそうに膨らんだ
黒い鞠となって
朝から眠り込んでいる
彼女の黒い体毛は
朝の陽光を吸い込んで
幸せ一杯に膨らんで
頭を毛布くっつけてトグロ
を巻いた彼女のようすは黒いふわふわの
まぁるい毬だ。
この毬は凶暴だ
前足で腕を抱え込んでキックする。
爪が伸びていたら最悪だが
爪が伸びていたことは無い。
まめに飼主が手入れする。
しゃーと なく
威嚇一声
この毬は優しい
言い争っている飼主夫婦の
間に転がり込む
転がり込んで双方見上げ
にゃんと なく
仲裁一声
この毬は寂しい
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